Dr.あいの皮膚科診療ブログ

板橋区仲宿で診療しています。

水いぼ、取る?取らない?

保育園や幼稚園からのプール授業のお知らせが、連絡帳やシール帳なんかに挟まってくる季節になりました。

 

そこで、水いぼ、取る取らない、問題がやってきます。

 

水いぼはウイルスの皮膚への感染症です。

感染経路は接触感染です。

 

皮膚科に入局してから、幾度となく水いぼの摘出をやってきました。

 

痛いことをされてしまう子供達は、基本的に大泣き大暴れします。動いたら危なく処置もできないので、スタッフに本気で動きを抑えてもらいます。

 

ペンレステープという痛み止めのテープが用いられるようになってからは、一度に取れる数は減ったものの、子供たちは痛み少なく処置を受けられるようになりました。それでも、処置をされる恐怖から、全身で抵抗する子どもは少なくありません。

 

水いぼはうつるから取るのが当然‥ とされていた時代、水いぼのお子さんが来院されたらその度に、迅速にかつ慎重に処置しなければ!!と、水いぼの数だけ自分に気合いを入れていました。

 

しかし数年前から、風潮が変わりました。

 

数年で免疫がついて自然に治るし、とっても取らないでも経過はかわらないので、取らないで様子を見るのがよいと!

 

‥取らなくていいの?!

そ、それは嬉しい。

 

取らなくて良いのなら、子供たちも怖くて痛い思いをしなくてよいし、医療者側も助かります。

 

「私、水いぼの処置が好きです!」と言う医療従事者は、まずいないと思います。

いらっしゃったら、尊敬します。

 

 

それを受けて、その後しばらく、水いぼを取らない方針にしていました。保湿しつつ、自然に治るのを待ちましょう‥と。

 

たしかに、自然に治る子は治ります。

 

でも、広がる子もいます。 

乾燥肌やアトピー素因がある子は広がりやすく、水いぼ自体も痒みを生じることがあり、引っ掻いて、さらに広がります。

ステロイドを塗ると水いぼは増えますし、湿疹があると皮膚のバリアが壊れているので水いぼは増えやすい状態にあります‥。

いつまで待てば、免疫がつくのか‥それは個人差があり、言い当てることは難しいと思います。

 

病院で取らないで良いと言われたものの、幼稚園や保育園からは、病院で取ってきて下さいといわれ、困るケースも多いと聞きます。

お友達のお母様達の目も気になるところです。

ご自分の子供がアトピー肌だったら、うつってしまうのじゃないか、心配になるお気持ち、よく分かります。

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結局のところ、水いぼは取るべきか取らないべきか、最終的な結論は出ていないように思います。

個人の肌質や環境要因により、選択する他ないかと考えています。

 

当院では、まずは診察して、肌の状態を見て、幼稚園・プール教室などの社会的要素を伺った上で、治療方針を決めます。

 

自然に治癒を見込める方には、保湿で経過観察をお勧めします。

 

摘出処置をする場合には、ペンレス(シール型の麻酔薬)を貼って、1時間くらい経ってから処置を行います。

小さい水いぼであれば、大抵の場合は痛みを訴えられることはありません。  

 

 

※当院で水いぼの摘出を希望される場合、可能な限り平日の受診をお願しております。

初診は土曜日でも構いませんが、治療方針を決めたのち、混雑状況によって実際の摘出処置日は平日とさせていただく場合がございますので、ご了承のほど宜しくお願いいたします。